鹿狼山から  
50 小春日和に    小幡 仁子

小春日和の日々が続いている。家の中は肌寒いが、外に出ると陽がまぶしいくらい注いで暖かい。今日も鹿狼山に行こうかと思う。
今、我が家の軒先には干し柿が20個ほど下がっている。陽を浴びながらほおばっていると、生きていることの幸せを感じる。実にいい気分だ。私の父も干し柿が好きで、軒先に干し柿がぶら下がっているのは「福しい気がする」と言う。戦争を経験し、食料や物のない時代に育っているから、干し柿は冬のご馳走だったのだろう。

あれ、何だ!庭のサザンカに見たことのない小鳥がガサゴソしていると思ったら、目の周りの白い輪っかが見えた。メジロじゃないか?わ〜すごい!サザンカの蜜を吸いに来たんだ、と気が付いた。今年、我が家のサザンカはどうしたのかな?と思うくらいに花芽をつけて、花がベタベタ咲いている。メジロも美味しいのがあると気が付いのか、それにしてもちょこまかと忙しい動きをするものだ。花の中に、ストローのようなくちばしをチョチョッと入れるのは見えたが、すぐに飛び去ってしまった。2羽のつがいだった。メジロを見たら、ちょっとご褒美をもらった気分になった。

鹿狼山に行く前に、ミズアオイの咲く田んぼに寄ってみた。ミズアオイが咲くのはこの田んぼの端っこで、いつもぬかるんでいる場所である。ここは、機械を入れるのも嫌なのか、イネを刈り残したような状態だ。ミズアオイは枯れてはいたが、茎もしっかり残っていて、来年もまた咲きそうであった。多分、いつも地面から水がしみ出ていて、除草剤が効かない場所なのだろう。環境が合えばすぐに芽を出してくる。植物の種子の強さをすごいと思う。
埒浜防災緑地湿地のミズアオイも枯れてはいたが、また来年も咲くだろう。あの場所も除草剤を入れたりすることはないから、多分、株を増やして咲くと思われる。現在も湿地の中央部分は水が溜まっていて、ミズアオイが咲くには充分な環境が備わっている。来年が楽しみである。

さて、鹿狼山は、平日でも午前中は駐車スペースがない。若い人はさすがにあまりいないようだが、中高年の中にも早足で駆け登る人もいる。一人で歩く女性や、グループ登山、目的は様々だ。私は、今日は何か新しい発見があるかなと、あちこち見ながら登っている。今日の発見は、ジャノヒゲの碧い実である。鹿狼山にオオバジャノヒゲがあるのは分かっていたが、ジャノヒゲには気付かなかった。オオバジャノヒゲの花は7月ごろ、甘くて良い香りを放ちながら、鹿狼山に群生している。花は総状に付き、薄いピンク色でなかなかかわいらしい。果実は黒っぽい深緑色で、登山道脇でも結構目にする。
今日は初めてジャノヒゲの碧い実を見て、鹿狼山にジャノヒゲもあったのか。それにしても、今までジャノヒゲの花に気が付かなかったし、どんな花かも知らないなと思った。家に帰ってから図鑑を開いた。気が付かなかったのは花茎が短くて、葉っぱの中に埋もれてしまい、見えにくいからのようである。来年は花を見てみようと思う。(2019/12/20 記)

 

ジャノヒゲの碧い実

 

田んぼのミズアオイ