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「冬芽ハンドブック」という図鑑を買ってからずいぶんになる。あれは確か高山の会の観察会で、Kさんがネジキの冬芽を見て「ほら、ネジキの冬芽は小人の兵隊さんみたいに見えるよ。かわいいね」と言うのを聞いて、冬芽に興味がわいて購入したのだった。
開いてみると、「冬芽を見て何の木か分かったときは本当に嬉しい」とか「冬芽によって新しい世界が開けてくる」と書いてあった。その頃は、花や葉っぱがないとその植物が何なのかが分からなかった。冬芽だけでは見当が付かず、ふ〜ん、そうなのか。新しい世界が開けるって本当かなあというくらいの感覚でいた。
鹿狼山にはもちろんネジキの他に色々な木がある。春夏秋冬、暇があるときは鹿狼山に登っているから、何とはなしにネジキの他にも色々な木の冬芽が分かるようにはなってきた。冬芽でかわいいのはガマズミだ。これは、芽鱗が毛で覆われていて、枝にも毛が密生している。両手を挙げてバンザイをしている人形のようだ。ちなみにこの毛が陽に透かされて金色に輝くととても美しい。ガマズミだけでなく、モヤッと毛に覆われている冬芽は多いが、暖かそうで冬らしくて良いと思う。
右下の写真はマンサクの冬芽で、先端が葉芽、下を向いているのが花芽である。何か四つ足動物のようなユーモラスな形になっている。先日の観察会で見たハルニレの冬芽は、芽鱗が着物の襟が何枚も重なったようだったし、葉痕は図鑑の説明で言えば「やんちゃ坊主の顔」に見える。ということで、本当にそう見えるのか、みんなでワイワイ言いながら観察して楽しかった。
当たり前のことだが、植物毎に冬芽も違っている。フワフワ毛をまとっているもの、蝋を塗ったようにツルツルしたのもある。この小さな冬芽の中に花や葉っぱが潜んでいて、春になると芽鱗を脱いで伸びてくるわけである。すごいなあ、良くできているなあと感心する。開きかけのマンサクの蕾を見たことがあるが、あの黄色い花びらがきれいに畳まれてあった。非常に効率よく蕾の中に収まっているのである。
3月17日に岩手県西和賀町のカタクリの会第339回生奥羽自然観察会に参加した。今回は「ハンノキの仲間よく観察しよう」という事で、タニガワハンノキとハンノキの違いなどをよく説明していただいた。途中でマタタビとサルナシの枝が回ってきた。枝は髄の違いが分かるように切ってあった。私はこれから冬芽はどうなるのかなと思ってザックに入れて家に持ち帰り、花瓶に挿しておいた。5日後にどうなっているかを見てみた。どちらもマタタビ科マタタビ属である。マタタビの冬芽は枝の中に半分埋もれ(半陰芽)。冬芽の先だけ少し見える。それは5日立っても変わらなかった。ところがサルナシの方は葉痕上部を突き破って冬芽が出てきていたのである。確か持ってきた時には冬芽は全然見えなかった気がするんだけど。う〜ん、恐るべし冬芽。本当に突き破っているよ!
(2019/03/24 記)
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