鹿狼山から  
44 〜防災緑地内の植生保護地    小幡 仁子

私は前回の「鹿狼山から 43〜釣師防災緑地植樹祭」の文章に、2haの植生保護地(塩性湿地)がどこにあるか確認できなかったことを書きました。それを知った福島大学の黒沢先生が、当会の第158回自然観察会に参加され、現地を案内してくださる事になりました。また、工事を担当している福島県相双建設事務所復旧復興部の方もいらしてくださいました。黒沢先生のお話では、植生保護の観点を持って復旧・復興工事をするということに対してまだまだ理解が進まず、今回、県事業である埒浜防災緑地の中に塩性湿地や自然観察池ができるのは画期的な出来事であるという事でした。また、地元市民が植生保護地の存在や、その意義を知ることがとても大切であるということも話されていました。
 
 私は新地町の住人ではありますが、この7年間の復興工事に関しては自分に関わりの無い、手の届かないところでやっているようなイメージがありました。長い間の公務員生活のせいか、トップダウンの人任せ体質が身に染みついてしまったのかもしれません。それで、ただ呆然と成り行きを見ているだけでした。「防災緑地ワークショップ新聞」の存在も今回初めて知りました。
 
 新地町では「町のみんなの声募集」ということで5回のワークショップをやっていました。1枚目の写真はそのワークショップの最終回で出された「釣師・埒浜防災緑地マスタープラン」です。埒浜防災緑地(県事業)の中に塩性湿地と自然観察池が描かれています。新聞の中には、ウミミドリ観察会という文字もありました。塩性湿地の植物も話題になったことを知りました。震災後にワークショップへの参加募集があったことは知っていたので、私も参加すれば良かったと、今頃になって思いました。 
 
 さて、塩性湿地は砂子田川の側にありますが、汽水を取り込むような構造にはなっていません。今は、工事現場の一部のような土地です。コウキヤガラ(絶滅危惧U類)や葭、ガマ等の他にカワヂシャやトウオオバコ、ハルジオン、カラスノエンドウなど色々な植物がありました。私が小さい頃は、葭やガマで覆われた湿地がずっと広がっていました。震災後、工事が入っていなかった時は、昔の姿に戻っていました。やがてこの塩性湿地も葭やガマが繁茂する場所となるでしょうが、そこには鳥や昆虫がやってくるだろうし、塩性湿地でなければ植生しない植物も見られるかもしれません。自然観察池にはミズアオイなどが出て来るかもしれませんし、今後の移り変わりが気になるところです。
 
 この後、観察会は大戸浜に移動しました。大戸浜の南部を地元民の私達は「まいこ浜」と呼んでいます。また83歳になる母は「おつと浜」だとも言いますが、地図にも何にもこの名称は表記されていません。この浜辺は震災前の風景と同じです。観察会の時はハマナス・ハマエンドウ・ハマニガナなどが砂浜に咲いていてきれいでした。特にハマナスは香りも良く、会員に人気でした。あの津波にも負けず、根は残ったものと思われます。
 
 福島県の海岸に自然海岸はほとんど残っていないそうです。港や堤防やコンクリートの消波ブロックに覆われています。美しい自然海岸は希少価値とも言えるのでしょう。私は6月になって、ハマヒルガオをみたいと思い、まいこ浜に出かけてみました。青い海と砂浜とハマヒルガオは美しい風景でした。(2018/06/24 記)

  
 
防災緑地ワークショップ新聞bTより 大戸浜に咲くハマヒルガオ