|
鹿狼山から |
|
|
2011年3月11日の東日本大震災から3年の年月が過ぎました。私の住む新地町でも人々は「あれから3年」と言って、それぞれの震災後の生活を振り返っています。先日3月16日(日)に地区の総会がありました。この地区に災害公営住宅が建ち、新たに22戸が編入になりました。区長さんから「ようやく仮設住宅から出て、この地区の新たな住人となられました。地区住民一同喜んでお迎えいたします。新しい住宅で快適な生活をなさってください」とお話がありました。その後、自己紹介がありました。7、8名の方が来られていました。多くは50才台くらいの女性でした。「大戸浜(おおどはま)からきました○○です」「釣師浜(つるしはま)の○○です」とおっしゃっていました。大戸浜地区も釣師浜地区もあの大津波で跡形もなく消え去りました。家を失っただけでなく、家族を亡くされているかもしれないと思いました。言葉の中に出自である大戸浜や釣師浜の土地名があることに、私は感慨を深くしました。どちらの地区も津波被害のあった危険地域ということで人の住む家は建てられないことになりました。夏は海水浴客で賑わい、民宿や旅館からは魚を焼くにおいがしました。漁師を生業とする方も多く、地区としてのまとまりも強固だったように思います。今は、釣師防災緑地としての計画が進んでいるようです。あの町並みや賑わいはもう戻ることはありません。潮の香りのする地区に数十年を過ごし、愛着ある土地やその名前がなくなるのは大変な喪失感であろうと思われました。知っている方はいませんでしたし、顔の表情からは読み取れませんでしたが、心の傷は今も癒えないであろうと思いました。 総会では新地町の現状をいろいろ聞くことができました。高台への防災集団移転促進事業が進み、町内7カ所に造成している中で、6カ所に家が建ち始め、復興が目に形になってきたこと。この3月には総合病院が開院し、診療科目が15科目、病床数が140床もあり、救急医療体制も整っていて、町民がより安全安心な生活ができるようになったこと。その他に、特別養護老人ホームが新たに4月から開所し、介護需要に対応できるようになったことなども聞きました。新地町は超高齢化社会だそうです。総人口に占める65歳以上の人口割合が21%以上になると超高齢化と呼ばれ、新地町は28.6%にもなるというのです。人口は8000人を切りました。震災前の2月には8400人いましたから、400人ほど減少したわけです。毎月の「広報新地」を見ると、誕生する子供の人数より、亡くなるお年寄りの人数が断然多いです。税収が減ってきているので、企業を誘致し、働く場の確保をしていかなければならないということでした。私が65歳になる頃は、もっと高齢化社会になっていることでしょう。若い方がいなければ、お世話になることは出来ません。毎日、鹿狼山に登って健康や体力を維持し、ボケないように頭を使い、いつまでも自分のことは自分でできるようにしたいものだと思いました。 総会の帰り道、隣組の奥さんに誘われて災害公営住宅を見て回りました。緩やかな坂道を挟んで3階建ての建物が4棟ありました。エレベーターはないそうです。駐車場スペースも広くあり、各戸にプレハブ物置が設置されていました。小さいけれど集会所もありました。収入に応じて家賃を支払うそうです。ベランダで洗濯物を取り込んでいる人がいました。すでに新しい生活が始まっているのです。 ここからは青い海も見えました。津波で防波堤がなくなってからは、本当に海が近くなりました。高い防波堤があったときは海が見えませんでした。人は防波堤のすぐ側で何の疑問も危険も感じないで生活していました。しかし、人が作ったものには限界があり、いつしかそれを超えるような自然の猛威がやってくるのだと思います。 今度出来る防災緑地とは、津波から人、町を守るための大きな森だということです。クロマツや広葉樹を合わせて10万本の苗木が必要なので、その一部として、町に自生している樹木の種から苗木を育てて現地に植栽をしたいと書いてありました。青写真には海側に大きな森があり、その後ろには子供達の広場やみんなの広場がありました。またその後ろには県道(嵩上げ道路)があって、町を二重に守るようになっていました。 また、これから大津波が町を襲ってくる時がないとも限りません。でも、沿岸部に人は住まないので3年前のようなことにはならないでしょう。また、豊かな森は豊かな海を作るともいいます。海が見えなくなるような巨大で高い堤防でなく、自然豊かな町のままでいようとする考えが良いと思いました。 町から海を眺める時に大きな森を見るようになる、その日が来るのは後何年後になるのでしょうか。何年、何十年とかかるかもしれませんが、未来ある子供達により安心・安全な環境を残したいものです。( 2014/03/23 ) |
|
|
|
(鹿狼山から沿岸部を見る) |