鹿狼山から  
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 鹿狼山のモミとカヤ     小幡 仁子

  昨年から、11月と12月は「阿武隈強化月間」と自分で勝手に名付けて、阿武隈の山々に友人を呼んで陽だまりハイクをしている。あちこちの名のある山々の紅葉が終わり、雪の便りが聞かれる11月過ぎに、阿武隈山地の紅葉は見頃となる。そして、「阿武隈の山には芋煮がよく似合うから」と、これも自分で勝手に決めて、お昼には芋煮汁を作ってお腹いっぱい食べることにしている。フーフー言いながら食べる芋煮汁の美味しいこと!ああ、幸せって感じ。
それで、今年は手始めに、大熊町の日隠山(601.5m)を登ることにした。高山の自然を守る会の山好きの方々に声をかけ、1113日に6名で坂下ダム登山口から入った。駐車場も広く、水洗トイレもあり鹿狼山と同じくらい整備されていた。案内板などもずいぶんお金をかけているようで、カラー絵入りであった。この登山道は旧会津街道で「塩の径、鉄の径」として明治時代まで使われていたという。そんなせいか、里山にしては自然度が高く、ヤシャブシやモミやブナの大木が見事だった。特にモミは樹高20m〜30mあろうかと思われるものが林立しており、阿武隈山地にこのようなところが残っていたのだと感心した。と同時に、実家の父が鹿狼山にも昔はモミの大木が沢山あったと話していたことを思い出した。50年くらい前には鹿狼山にもこんな風景があったのかもしれない。そのモミの大木を切り出して売り払い、そのお金で最近まで杉の共有林の税金を払っていたという。今ではその共有林は手入れもされず、放置されたままである。
さて、薄暗い林床にはカヤもあって、「モミとカヤ」は似ているがどこがどのように違うのかという観察会モードになった。モミの葉先は二つに分かれているが、カヤは葉先が分かれずに鋭く尖っていて、触ると痛いんですよ、とS氏は説明をしていた。ところが、モミと思われるのに、葉先が二つに分かれずに丸い物もあったので、「モミなのか?カヤなのか?」としばらく談義は続いた。モミは大きいものは木肌の特徴からすぐに分かるが、林床にあるモミやカヤの幼木は、同じものに見えた。しかし、よくよく観察してみると、カヤの葉は比較的同じ長さで並んでいるのに対して、モミの葉は長さが不揃いであるし、樹皮の質や色も違っていることが分かったので、目が慣れてくると同定は簡単であった。その後はゲームをするように、モミとカヤの同定をしていったが、モミの木が林立する割にはその幼木は少ないように思えた。帰宅後、S氏からのメールで、モミも老木になると先の丸まった葉を付けることがわかった。(人間が歳をとると、性格が丸くなるのと同じです。という注釈付きだった)                                       
日隠山のことから、鹿狼山でカヤだと思って見てきた物の中にモミがあったのではないかと気になり、登山道から見える範囲を確かめながら登ったが、みんなカヤかイヌガヤであった。頂上近くに1本の大きなモミがあり、冬は小鳥たちの休み場にもなっている。今は藪が薄くなっているので、落ち葉を踏み分けながら近づいてみた。モミの木の下の幼木は当然モミだと思ったらイヌガヤの木であった。周辺を探すと、本当に小さなモミの幼木が1本、落ち葉にうずくまるようにしてあった。この幼木はこれから先、成長できるのだろうか。鹿狼山にモミの木の林ができるのはずっと先のことと思われた。(2010/12/17)

日隠山にて

左はカヤの葉 右がモミの葉

日隠山のモミ原生林

鹿狼山にも昔はこのような風景が・・・

日隠山のモミ原生林

鹿狼山にも昔はこのような風景が・・・